プロの30年の経験で、胡蝶蘭の花の色で花持ちの長さが分かる
胡蝶蘭の美しい花は、私たちに長い期間、喜びを与えてくれます。しかし、同じ環境で育てていても、「なぜかこの色の胡蝶蘭はすぐに花が終わってしまうな…」「あの色の胡蝶蘭は、いつまでも咲いているな」と感じたことはありませんか?
実は、胡蝶蘭のプロは、花の色を見るだけで、その花持ちの長さがある程度予測できることを知っています。
私はこの道30年、数えきれないほどの胡蝶蘭と向き合ってきました。その経験から、今回は「花の色」と「花持ちの長さ」の意外な関係について、皆さんに特別にお教えします。
胡蝶蘭の花持ちを左右する「色素」の秘密
結論から言うと、胡蝶蘭の花持ちに影響を与える最大の要因の一つは、花びらに含まれる色素です。
特に、アントシアニン系色素やカロテノイド系色素といったポリフェノールの一種が、胡蝶蘭の花持ちを左右するカギを握っています。これらの色素は、ただ色を付けるだけでなく、植物を紫外線や酸化から守る重要な役割を果たしています。
この色素の含有量や種類が、花の色によって異なるため、花持ちの長さにも差が生まれるのです。
【花色別】花持ちの長さと選び方のポイント
それでは、プロの経験に基づく、花色別の花持ちの傾向を見ていきましょう。
1. 白:安定感抜群!最も花持ちが良い色
白い胡蝶蘭は、花持ちが最も良い色の代表格です。
- 花持ちの傾向: 他の色に比べて、非常に長く、安定している。
- 理由: 白い花には色素が少ない、または含まれていないため、色素の分解による老化が起こりにくいと考えられます。
- プロのアドバイス: 大切なビジネスシーンでの贈り物や、長く花を楽しみたいご自宅用には、白が最もおすすめです。品質の良い白の胡蝶蘭は、2ヶ月~3ヶ月以上美しい状態を保ってくれることも珍しくありません。
2. ピンク・赤リップ(白赤):花持ちは中間。
ピンクや赤リップ(白赤)の胡蝶蘭は、白に次いで人気が高い色です。
- 花持ちの傾向: 白よりはやや短いです。ピンクはまあまあ、白赤はやや花もち短いです。
- 理由: アントシアニン系色素を含んでおり、これが胡蝶蘭特有の美しいピンクや赤の色を生み出しています。この色素の分解速度が、花持ちに影響を与えます。
- プロのアドバイス: 明るく華やかな印象を与えるため、開店祝いや就任祝いなど、白い胡蝶蘭との差別化に用います。女性様への贈り物には柔らかな雰囲気でいいですね。白ほどではありませんが、十分に長い間楽しめます。
3. 黄色・オレンジ・斑入り:少し短めだが、個性的な魅力が人気
黄色、オレンジ、そして斑入りの胡蝶蘭は、最近特に人気の高い色です。
- 花持ちの傾向: 白やピンクに比べると、やや花持ちが短い傾向にあります。
- 理由: これらの色は、主にカロテノイド系色素によるものです。アントシアニン系色素よりも紫外線や温度変化の影響を受けやすく、花びらの老化が早く進む傾向があります。
- プロのアドバイス: 長く花を楽しむというよりは、その個性的な色合いや珍しさを楽しむ胡蝶蘭です。他とは違う特別な贈り物をしたい時や、室内の雰囲気を明るくしたい時にぴったりです。贈り物にする際は、花持ちが短めであることを考慮して、少し早めに贈るのも良いでしょう。
なぜ花持ちに差が出るのか?
30年の経験から、この花持ちの差には、単に色素の種類だけでなく、品種改良の歴史も関係していると考えています。
白い胡蝶蘭は古くから品種改良が進められ、花持ちが良く、栽培しやすい優良品種が多数開発されてきました。一方、黄色や斑入りといった個性的な色の胡蝶蘭は、新しい品種が多いため、まだ栽培や花持ちの安定性が確立されていない品種も一部には存在します。
しかし、近年では花持ちの長い黄色系品種も開発され、その差は徐々に小さくなっています。それでもなお、安定感という点では、白の胡蝶蘭が一歩リードしているのが現状です。
まとめ:花の色で胡蝶蘭を選ぶ、プロの視点
胡蝶蘭の色を選ぶ際、花言葉や見た目の好みで選ぶのが一般的ですが、花持ちの長さという視点も加えてみてはいかがでしょうか?
- 花持ちを最優先するなら「白」
- 女性への贈り物や白との差別化なら「ピンク」や「赤リップ」
- 個性的な色合いや珍しさを楽しむなら「黄色」や「斑入り」
もちろん、胡蝶蘭の花持ちは、栽培環境(温度、湿度、光)によっても大きく変わります。しかし、同じ環境下であれば、今回ご紹介した「花の色」による傾向は、あなたが良い胡蝶蘭を選ぶ際の一つの指針となるはずです。
ぜひ、この知識を活かして、あなたにぴったりの胡蝶蘭を見つけてください。